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【簡単な書評6】認知行動療法事典(フリーマン他, 2010)

 

認知行動療法事典

認知行動療法事典

  • 作者: アーサー・フリーマン ,ステファニー・H・フェルゴワーズ,アーサー・M・ネズ,クリスティン・M・ネズ,マーク・A・ライネッケ,内山 喜久雄,大野 裕,久保木 富房,坂野 雄二,沢宮 容子,富家 直明
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2010/12/24
  • メディア: 単行本
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認知行動療法事典を読みました。事典を最初から最後まで読むというのは初めての経験でした。簡単にまとめます。

項目の種類

この事典の項目は以下のような形で分けられるかと思います。コロン以下が実際の項目名です。

  • CBTの理論に関するもの:アクセプタンス&コミットメントセラピー、評定言語療法、論理情動行動療法など
  • 特定の技法に関するもの:応用行動分析、エクスポージャースキーマの理解など
  • 特定の精神障害発達障害に関するもの:うつ病、不安障害、ADHDアスペルガー障害など。中には年齢によってさらに細かく項目がわかれているものもあります。例えばADHDは児童期と成人期に項目がわかれています。
  • 特定の問題行動に関するもの:怒り、性犯罪、嗜癖行動など
  • その他:家族介護者、宗教的な信念と実践、など

何を学べるか

CBTというグループに分類される心理療法の中にもさまざまな理論がありますが、そのいくつかがこの事典でも紹介されています。理論についての説明はエッセンスに焦点が絞られているので、私のような初心者には難しいです。しかしこの事典の親切なところは各項目の最後に推奨文献なるものが紹介されていることです。理論については、この事典を読んでわからないことを明確にしておき、それを念頭において推奨されている文献に当たることで、より理解を深めるという形で勉強するのが良いと思います。私もこれから推奨文献にあたってみるつもりです。

特定の技法については、それがどういう原理でどういう問題に使えるのか、そして実践する際の具体的な注意点がまとめて書いてあります。

特定の障害、特定の問題については、CBT独特の枠組みを使って、つまり人間の反応を認知、行動、感情、身体の4種類に分け、そしてその反応間および反応と環境の間に相互作用があることを想定して説明し、それに基づいた介入法が紹介されています。関連する研究のレビューもあるので、自分が関心を持つ問題について知るきっかけとして有用だと感じました。

注意

認知行動療法に興味がある方なら持っておいて損はない内容だと考えます。

一方で、例えばパーソナル・コンストラクト心理学についての「この理論は、知識を得ることはそれを知った人と不可分に結びついているというメタ理論的仮説を採用することによって『現実主義対理想主義』論争を超越する」(p.369)という記述ですとか、変容の段階という項目の「セラピストはクライエントを適切に評価し、そこからクライエントが変わるための準備性を高めなければならない」(p.421)という記述ですとかみるとわかるように、所々でなんだかよくわからない訳がされていることは事実です。そういう部分が気になる方は原著を購入されるとよいと思います。

Encyclopedia of Cognitive Behavior Therapy (Social Indicators Research Series)

Encyclopedia of Cognitive Behavior Therapy (Social Indicators Research Series)

  • 作者: Stephanie Felgoise,Arthur M. Nezu,Christine M. Nezu,Mark A. Reinecke
  • 出版社/メーカー: Springer
  • 発売日: 2005/09/28
  • メディア: ペーパーバック
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